ワックスやコーティング剤の種類と選び方
ワックス選びの基本は
ワックスを使うときに「何を基準に選ぶのか」ということで、非常に悩む場合があると思う。ワックスの種類は数えきれないほどあるからだ。
ワックスは基本的には3種類あり、「固型」「半練」「液体」という製品がランナップされている。それぞれに特徴があり、固型は作業性はやや大変だが持久力がある。半練は作業性はやや楽で、研磨剤が入っているから汚れも取れるが、持久力は固型ほどではない。液体は作業性は楽なのだが、持久力には欠ける。
このような特徴が、一般的な量販されているワックスにはある。したがって、自分のカーライフのパターンに合わせて選ぶか、すべてをそろえて時間のある時、汚れのついた時、時間のない時などで使い分けることも考えられる。
ワックスの弱点
一般的に量販されているワックスで、よく「カルナバ100」などという表示があるが、これはあり得ない。カルナバは熱帯地域に育つ「カルナバ椰子」という植物が、乾季に入った時に自らの葉から水分が蒸発することを防ぐために葉にできた樹脂なので、ピュアなカルナバは非常に硬い。したがってそのままではワックスになるわけはないからだ。
一般的な量販品の場合、必ずカルナバを溶解するために石油系の溶剤を使う。このため、ワックス被膜の中に石油成分が残る。石油成分自体は、酸化物質なのだ。そのため長期間放置するとワックスの被膜自体が酸化してしまい、酸化被膜になってしまう。これが塗装を酸化させていくことになるのだ。
したがって、あまり期間を置かずにワックスがけを繰り返さないと、逆に塗装を痛めてしまうということがあるので、ここが一般的なワックスの弱点になるのだ。その期間は露天の駐車場だと、2週間から1ヶ月程度だといわれている。タワーパーキングの場合だと、日光を遮断できるので数か月は大丈夫だといわれている。
石油系溶剤の入っていないワックスはあるのか
では石油系溶剤を一切含まないワックスがあるのか、という疑問が出てくるが、実はそれは存在するのだ。
一般的な量販ワックスではないので、一部のマニアにしか知られていないのだが「ZYMOL」というワックスがある。これは石油系の溶剤の換わりに、溶剤としてオレンジオイルやココナッツオイルなどを使い、全く石油系の溶剤を使っていない。つまりカルナバ自体はほとんど酸化しないので、石油系溶剤が入っていないということは、酸化要素がないといえる。
ZYMOLは車の美を競うコンテストの仕上げ用として、多くのコンペティターに愛されているワックスなので、その面での信頼性は非常に高い。とにかく仕上がりの美しさは、ちょっとほかのワックスでは表現できないといわれている。
施工は少々面倒だが、その耐久性は露天の駐車場でも数か月あるというから、一回の施工にとられる時間よりも施工しないで済む時間の方が、はるかに長いことになる。
あとは金額が少々高いことがネックになるのだが、仕上がりの美しさは抜群なので、ワックス好きの方は試してみてはいかがだろうか。
どんなコーティング剤がいいのか
ワックスがけの面倒から解放してくれるのが、いわゆる「コーティング加工」になる。これも、ワックスに負けず劣らず数は多い。
ではどんなコーティングを選ぶべきなのか、ということになる。答えはやはり石油系の溶剤を使っていないことと、被膜の成分が非酸化物質であることの2点に注意をするべきなのだ。
現在出ている中でコストパフォーマンスを考えると、「ガラス系」のコーティングがベターな選択肢になると思う。
これもかなり多くのものが出ているが、しっかり膜のできるものであることが重要ポイントになる。目安としては、コーティング液を硬化させた結晶を見ることができれば、まず被膜もできると思って間違いはない。
ただしガラスは硬いから傷がつかない、と思い込まないほうがいい。ガラスの硬さは10段階のモース硬度表では5になるから、ほかにも硬いものはたくさんある。
またアインシュタインの相対性理論の中には、「質量もエネルギーの一形態」といことがあるので、ミクロ単位の被膜しかできないコーティング膜では、すべての傷から塗膜を守ることはできないと思うべきなのだ。
こういったことを理解しておいて、ワックスなりコーティングを選べば、大きな失敗はないと思うので、ぜひ参考にしていただきたい。
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最終更新日:2013/11/08